昼過ぎ。
切らしてたのを思い出して煙草を買いに町へ出る。
彼岸過ぎの田舎町は平和そのもので、
ブランコで遊ぶ子供が公園でキャッキャ言ってたり。
南北を台風で挟まれてる現実はなんだか実感出来ない。
小高いところにあるコンビニに入る。
店内も外と同じく平和そのもので、
数少ないコンビニなんだからもう少し混んでていいんじゃないかと
余計な心配をしてしまう。
「5番の上の黄色い煙草ください」
このコンビニ、ワタシが吸ってる煙草にナンバリングされてないので、
いつもこんな頼み方する。
会計の段になって、今月から値上げしてた事を思い出し、
別に何をミスったわけでもないのに、バツの悪い苦笑いをしてしまう。
それを見た店員さんが「ワタシが若い頃は二百円くらいだったのにねぇ」なんて気遣ってくれるから、
こっちは更に苦笑いするしかない。
別に良いのよ値上げしても。人様にご迷惑お掛けしてる分、迷惑料みたいなもん。
でもビックリするよね実際。
ちょっとした悪夢でも見てる気分で店を出る。
これを機に銘柄変えようか、でもどうせ戻すんだからいいか。
そんな事考えながらまた歩く。
2919年だか20年だかの3月にマヤ暦が終わるから、
そこで世界は終わるんだって聞いたけど、
今のところ世界は良いも悪いもどうでもいいも引っくるめて、
ダイヤモンドとゴミとプラスチック満載のメリーゴーランドみたいに回ってる。
でも、せっかく知り合いに子供産まれたり育ったりして幸せそうだし、
今終わるのは嫌だなぁってちょっと思いながら、
値上がりした煙草に火をつけてみる。
なんも味変わんねぇ。